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2014年1月
前進するアベノミクス

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1. アベノミクス「第3の矢」に関する最新の進展

アベノミクスに関する最新の動き

  • 法人実効税率の引下げを決定
  • 企業収益を賃金の上昇につなげていくきっかけとするため、復興特別法人税を1年前倒しで廃止(2015年3月末→2014年3月末)することを決定。これにより、法人実効税率を2.4%引き下げる(38.0%→35.6%)。
  • 複数の分野において画期的な構造改革が進行
  • 1)農業改革:過去40年間に亘り米の生産縮小に対し助成金を給付してきた、「減反」として知られる生産調整制度を廃止する。これを含め、生産性向上・競争力強化を農業政策の基本に据える大改革を決定。
  • 2)医薬品のインターネット販売:消費者の利便性向上のため、改正法が成立し、原則としてすべての一般用医薬品についてインターネット販売を解禁。
  • 3)電力改革:改正法が成立し、電気の小売り市場の全面自由化に向けた3段階からなる電力改革の第1段階(地域間の電力融通の拡大)を実施。
  • GPIFなどの公的・準公的資金の改革のロードマップを提示
  • GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的・準公的資金の運用等に関する改革案が有識者会議(座長:伊藤隆敏・東京大学大学院教授)から示された。これを踏まえ、国内債券を中心とする現在のポートフォリオの見直しなどの改革が実施される。
  • 2014年度政府予算案は財政赤字を減らし、プライマリー
    バランスが中期目標を上回ったペースで改善

米の生産調整の見直し

  • 40年以上続いた米の生産調整を見直し、生産数量目標の配分を5年後に廃止。
  • 併せて麦・大豆・飼料用米等の「戦略作物」の振興、保水機能などの水田の多面的機能に着目した日本型直接支払を創設。
  • 政策を総動員し、農業の競争力強化、農業・農村全体の所得倍増を目指す。
米の生産調整の見直し

行政が各農家毎に生産目標数量を示し、助成も行うことでこれを実現。

生産者等が自らの判断で生産を行うよう、生産数量目標の配分を5年後に廃止。

「戦略作物」の振興

生産調整に伴い、主食用の米からの転作を奨励。

マーケットインの考え方に基づき、麦・大豆・飼料用米などの作物について、生産性の向上や高付加価値化を後押し。生産調整下で活用されてこなかった水田の積極活用を図る。

一般用医薬品のインターネット販売規制の見直し

  • 限られた「例外」(※)を除き、全ての一般用医薬品についてインターネット販売を可能とする薬事法改正が、臨時国会において成立。
  • 消費者にとって購入方法の選択肢が増え、利便性が向上。インターネットを経済社会の新たなインフラとして定着させることにより、新たな産業の創出やイノベーションを促進。

(※)「例外」は①スイッチ直後品目23品目及び②劇薬5品目だが、①については、今後原則3年以内に安全性を確認した上でインターネット販売が可能となり、例外ではなくなる。②については、対面販売を義務付ける5品目中4品目は性機能障害改善薬、他の1品目は殺菌消毒薬。

電力システム改革の断行

  • 60年ぶりの抜本改革を断行。3段階で改革を行い、遅くとも2020年をめどに改革を完了。
  • 他業種・他地域からの電力産業への参入を促し、需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大するとともに、電力料金の抑制、電力の安定供給を実現。

第1段階:広域系統運用の拡大[2015年(2年後)目途に実施]

電力需給のひっ迫等に対応するため、地域を越えて電気を融通しやすく。[2013年秋の臨時国会で法案が成立]

第2段階:小売参入の全面自由化[2016年(3年後)目途に実施]

家庭でも電力会社や料金メニューを自由に選べるように。[2014年通常国会に法案を提出予定]

第3段階:送配電部門の法的分離、小売料金規制の撤廃[2018―2020年(5―7年後)目途に実施]

送配電網を誰もが公平に利用できるよう、電力会社の送配電部門を別会社化して、その中立性・独立性を高める。また、電気の小売料金を全面自由化し、競争力のある電気料金に。 [2015年通常国会への法案提出を目指す]

公的・準公的資金の運用等の見直し

  • 合計200兆円以上の資金を保有する、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的・準公的資金について、以下の方向で運用等の見直しなどを行う。

有識者会議(座長:伊藤隆敏・東京大学大学院教授)による提言(2013年11月20日公表)の概要

(1) 運用目標・方針

適度なインフレ環境へと移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、国内債券を中心とする現在のポートフォリオの見直しが必要。

収益目標を適切に設定するとともに、リスク許容度の在り方についても検討すべき。

(2) ポートフォリオ(運用対象)

新たな運用対象(例えば、REIT・不動産、インフラ、ベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティ、コモディティなど)の追加により運用対象の多様化を図り、分散投資を進めることを検討すべき。

アクティブ運用比率を高めることを検討すべき。

リターン向上を目指すため、株式運用のベンチマークについて、例えばROE等も考慮した新たな株式指数等を利用するなど、改善策を検討すべき。

(3) リスク管理体制等のガバナンスの見直し

資金運用の重要な方針は、常勤の専門家が中心的な役割を果たす合議制で決定する体制が望ましい。

運用対象の多様化やリスク管理等の高度化を図るためには、第一線の専門人材が必要。

(4) エクイティ資産に係るリターン最大化

投資先との緊密な対話や適切な議決権行使について、日本版スチュワードシップ・コードに係る検討を踏まえた方針の策定を行う。